肘・手・手首の痛み
肘・手・手首の痛み
野球肘とは、投球動作の繰り返しによって起こる肘の障害で、肘関節を保護している軟骨や靭帯、筋肉、腱などが損傷する病態の総称です。医学的名称は上腕骨内側上顆炎といいます。肘への負荷が過剰になることが原因で、痛みの部位によって内側型、外側型、後方型に分類されます。
内側型は、肘の内側に過剰な負荷がかかり、靭帯の牽引力によって腱や軟骨が損傷します。代表的な病態には内側側副靱帯損傷、内側上顆裂離骨折があります。
外側型は、肘の外側にある骨や軟骨が剥がれたり傷んだりすることで炎症や骨折が生じます。代表的な病態には離断性骨軟骨炎があります。
後方型は、上腕骨後方にある凹んだ部分にストレスがかかることで、疲労骨折や骨棘形成が起こります。代表的な病態には肘頭部疲労骨折があります。
治療では、投球を一時休止して安静に努めます。痛みが治まってきたら医師の指示のもと、競技への復帰と再発予防の観点からリハビリテーションを行います。
尺骨神経が、肘の内側に位置する肘部管内で圧迫・牽引されることにより、小指を中心にしびれたり、指が動かしづらくなる疾患です。肘を曲げると症状が悪化することが多く、生活指導やビタミン剤の内服により症状緩和を促します。
上腕骨外顆炎は、「テニス肘」や「ゴルフ肘」とも呼ばれています。肘から前腕には、手首を動かしたり、指を曲げたりする筋肉が重なるように存在します。テニスなどで同じ動作(主にバックハンドストローク)を何度も繰り返し、過度な負担がかかることにより、この筋肉に亀裂や炎症が生じて痛みが起こると考えられています。
また、日常生活の中で毎日包丁を握る、ゴルフでクラブを握るといった握る動作の繰り返しや、パソコンやスマホの操作のしすぎで発症することもあります。
治療では、肘だけでなく手指や手関節部も安静にします。消炎鎮痛剤の投与と装具療法(テニス肘用バンドなど)を併用する保存的療法が基本です。
腱鞘炎とは、骨と筋肉をつないでいる“腱”と腱を包む“腱鞘”と呼ばれる組織に摩擦が生じることによって炎症が生じる病気のことです。
腱や腱鞘は全身のさまざまな部位に存在していますが、症状は主に動きの多い手首や指に発症します。代表的なものでは、スマホの使い過ぎなどによって手首の母指(親指)側にある腱鞘に発症する“ドケルバン病”、指の腱鞘に発症する“ばね指”などが挙げられます。
腱鞘炎を発症すると、指や手首に痛みが生じるだけでなく、腱鞘が腫れて狭窄するため、腱のスムーズな動きが妨げられて手首や指の動きが悪くなることも少なくありません。また、周辺の神経を刺激することでしびれが走ることもあります。腱鞘炎(ばね指)の治療は、局所の安静、投薬、腱鞘内ステロイド注射などの保存的療法が行われます。
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